アメリカン・ギャングスター American Gangster
2007年 12月 29日

「この映画、きっとMyums好みだよ」というBooのおすすめで、『アメリカン・ギャングスター』を観ました。
70年代初頭のハーレムでギャングのお抱え運転手として働いてたフランクが、ボス亡き後にハーレムを仕切る麻薬王にのし上がっていくという、事実に基づくお話です。
黒人ギャングものと聞いて、Fuckin'が飛び交うドンパチをイメージしてたんですが、箱を開いてみたら緻密な麻薬ビジネスもの。なんと言ってもフランクその人のキャラクターが最高に魅力的でした。
フランクは一匹狼の黒人ギャングでありながら、自分の男兄弟を仲間に引き入れ、イタリアンマフィアのように家族でギャングビジネスを展開。
麻薬の原料を仲介ではなく自ら東南アジアへ乗り込んで直接交渉し、なんと軍用機に載せて調達。仲介料を省くことで他のギャングやマフィアより安価に設定するのです。
その上、他社が少しでも量をかせごうと化学物質を混入させているところ、フランクのヘロインはピュアで質もバッチリ!

そうして独自の販売方法で一気にハーレムの麻薬王へとのしあがったフランクですが、決して派手に豪遊したり名を売ったりせず、身分を隠し、目立つことを嫌います。
周囲のマフィアも、まさか一介の黒人がイタリアンマフィアのようなビジネスを築きあげているとは思いもせず。
フランクは自分の肌の色とそれによる人々の先入観を隠れ蓑に、静かにハーレムの麻薬王に君臨します。
それは警察や周囲のマフィアからのマークを避けるための戦略の1つであったのですが、それとは別に、権力やお金を武器に力を誇示することをUncoolとするフランクの人生観もあったと思います。
自宅のホームパーティーでいい気になって大騒ぎしてる兄弟の一人に、フランクは言います。
「この部屋の中で一番弱いやつが誰だか分かるか?それは一番騒いでるやつだ。お前のことだよ」
私もそう思うよ、フランク!
弱い犬ほどよく吼えるとはよく言ったもんで、お金を権力を嵩に騒ぎ立ててる人って、みっともない。自分が本当は弱いってことを露呈しちゃってるようにしか見えないです。
ビジネスの展開の仕方にしても、彼の持つ人生観にしても、フランクはWiseな人だったんだな~って思います。

最近パッとしなかったデンゼル・ワシントンにとっても、フランクはかなりの当たり役でした。フランクを追う警官役のラッセル・クロウも良かったです。女癖が悪いけど正義感の強い男の役って、プライベートでもやんちゃなラッセルそのものって感じ。
サイトで予告編を見たら、ラッセルとデンゼル、2人のアカデミー受賞俳優激突!みたくなってましたが、ラッセル演じるリッチーの描写は中途半端なので、ラッセルのことはあくまで脇役として見たほうがいいと思います。
「主役級俳優ラッセル・クロウの脇役姿」って方がキャッチーだしね!
フランクに敵対するギャング役のキューバ・グッティングJr.は、久々に見ました。『僕はラジオ』以来。年取ったな~。この人は、私の中で、ギャングじゃなくて、ピュアなヒューマン系な役のイメージです。
期待以上に骨太で重厚だったし、ソフト帽にサスペンダーといった70年代の黒人ファッションもカッコよくて、おもしろかったです!
おすすめしてくれたBooちゃんに感謝。さすが、私のテイスト分かってるね~。
▲ by myums | 2007-12-29 15:26 | 映画・海外ドラマ あ行