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ラスト・デイズ

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やーっと見ましたよ、『ラスト・デイズ』。
ニルバーナのカート・コベインの死に影響をうけて作られたという映画です。
(あくまで影響を受けただけであって、カートの最期を描いた映画ではありません)
きっつい映画だって聞いてたんで、なかなか手に取れずにいたんですが、Booがいない隙を狙って借りてみました。

いやあ、評判とおり、きつかったです。
ストーリーらしいストーリーがない。
台詞らしい台詞もなく、ひたすら続く主人公ブレイクの意味不明な行動。女物の下着をつけてみたり、ふらふら森に入ってみたり、ぶつぶつつぶやいてみたり。最初はその不可思議な行動を笑ってみてられたんですけど、あまりの痛々しさにどんどん胸がしめつけられて、精神が破綻するほどもがくということの苦しさを考えずにはいられませんでした。
でも、考えてもよく分かりません。

精神破綻した人の思考ってどんな状態になってるんだろう。自分の奇行を奇行だと理解してるのか、それとも自分は正常だと思っているのか、奇行を正常だと思っているからこそ精神破綻と呼ばれるのか。はたまた、おかしな言動をしている自分を、実はもう1人の平常な自分がどこからか見ていて、お前は頭がおかしいとつぶやいていたりするのか。
そこまで至るほどにもがくという状態は、いったいどこからやってくるのか。
そういう人はどうしたら、正常に戻れるのか。でも正常に戻ることがその人の願いなのか。幸せなのか。
正常でいたことが苦しくて、つらかったからこそ、頭がおかしくなったんじゃないのか。
そうしたら、やっぱり死ぬことでしか救われないのか。
でも、それは何かが違う気がする。

やっぱりよく分からないけど、たとえば、カート・コベインの場合、もし彼がドラッグに逃げずにニルバーナを脱退して、日本の片田舎なんかで自分の好きな音楽だけを作り続けることができたら、自分を失わずに済んだのかもしれない。もしかしたら、答えはそんな簡単なことだったのかもしれない。
でも、そんな図太さをカートが持っていたら、ニルバーナは生まれてないんだろうな。


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で、映画自体についてですが、カート・コベインを知ってるからこそ、色々と思索できる映画であって、知らないと、単に意味不明で妙な緊張感と重圧感たっぷりの、苦しい映画で終わっちゃうと思います。

マイケル・ピット演じるブレイクが「Death to birth」(クリックで動画へ)って歌を、ギター弾き語りで歌うシーンが、感情のほとばしりを見て取れる唯一のシーンです。

「死から誕生までの、長く孤独な旅・・・」

生が死であって、死が誕生。
生きることがそれほどに辛いと感じるほどに思い詰めるって、ある意味すごいエネルギーだとは思いますが、本当に悲痛な歌です。イタイ。心が痛い。

おすすめできる映画じゃないです。
心が半分にちぎれるような痛さを感じる映画。
「エレファント」の監督作品なので、あれが好きだった人は挑戦してみても良いかも。

by myums | 2008-07-21 23:39 | 映画・海外ドラマ や・ら・わ行  

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