旦那の名はBoo。変なカナダ人。得意な日本語は「ヨッパラチャッタ~」。その妻、Myums。3年間の交際、5年間の結婚生活を経て、2011年1月に長女みっしゃんが誕生。Booも私もLovelyなみっしゃんにメロメロな日々です。


by myums
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

タグ:映画・感動モン ( 34 ) タグの人気記事

ブルーバレンタイン

c0057810_21561737.jpg


久々の映画レビューにふさわしい映画、『ブルーバレンタイン』です。

結婚7年目を迎え、絶頂倦怠期のディーンとシンディ。
3歳になるかわいい娘のためにも、何とか平穏な家庭を続けていきたい。
互いに努力するものの、どうしても交差しない互いの気持ち。


このままでは愛が消えてしまう。
俺はまだシンディを愛している。

2人の愛を取り戻すため、ディーンは2人でホテルに泊まろうとシンディをデートに誘います。嫌々ながらもかすかな希望を持ち承諾したシンディでしたが、ホテルで過ごした時間は苦痛以外の何者でもありませんでした。

ディーンに対し、嫌悪感さえ抱いている自分に気がついたシンディ。

もう、彼とは一緒にいられない。


そんな冷め切った二人にも、強く惹かれあっていた頃があったのです。
辛い現状の合間に流れる、出会ったころの幸せなエピソード。
路上で踊ったり、じゃれあって笑ったり、無邪気でとてもかわいらしいカップルだった。
永遠の愛を確信していたのに、いつの間にか、相手の何もかもがいやになってしまっていた。


この映画は、出会いと終わりだけを描き、その間に起こった賭け違いの部分は描かれていません。それがまた作品にリアリティーを与えてます。
だって、愛が倦怠に変わるのって、ドラマティックなきっかけじゃなくて、たわいもない小さな違和感の積み重ねですよね。ディーンとシンディも、毎日の生活の中で感じていた違和感に目をつむりながら過ごしてしまったんでしょう。


恋愛の持つ脆さと切なさが分かる人に見てもらいたい映画です。
構成もいいし、役者もいいし、リアルに胸に響きます。

でも、ライアン・ゴスリング(ディーン役)の禿げチョビン姿には笑っちゃう!
シンディ的には、「禿げ散らかしたアンタに用はないわ!」ってところだったんじゃ。
[PR]
by myums | 2011-05-26 22:25 | 映画・海外ドラマ は行

マイ・ブラザー Brothers

c0057810_2344742.jpg


『マイ・ブラザー』を観ました。

ジェイク・ギレンホールとナタリー・ポートマンとトビー・マグアイアの3人が主演。ジェイク大好き!ナタリー大好き!トビー、苦手!!

トビー・マグアイアの目が苦手。ビー玉みたいで、心が読めない目。ちょっとコワイ。

しかし!
今回は、そんなトビーの目がすごく良かったのです。

兄役トビーは海兵隊。しっかり者で両親からの信頼も厚く、美しい妻(ナタリー)と2人の娘と幸せに暮らしています。
対する弟のジェイクは、銀行強盗で捕まって刑務所に入ってるゴロツキ者。ナタリーからも苦手な相手とされています。

でも兄弟仲はとても良い。
まあ、よくある設定ですね。

そして弟の出所と入れ替わるように、兄が戦地に赴き、その後戦死のたよりが届きます。悲嘆に暮れるナタリーと娘たちを、支えてくれたのが、弟のジェイクでした。
兄の死をきっかけに責任感を身に付け、ナタリーに淡い恋心をいただくようになる弟。夫の死の辛さから、傍で優しく強く守ってくれるジェイクに、少し心が揺れ始めるナタリー。

ぶっちゃけ、そりゃないだろーーー!
旦那の弟だよ。いくら死んだからって、旦那の弟は恋の対象にならないよ。半径狭すぎだって。

まあ、100歩譲って、一瞬ぐらつくこともあるとしましょう。

そこへなんと、トビー兵帰還!!!
しかし、戻って来たトビーはやせ細り、疑心暗鬼の狂気に取り憑かれた瞳をぎらつかせ、以前とはまったく別人になっていたのです。

この狂気の瞳が、トビーにぴったりでした。
太りやすそうな体のトビーが、ガリッガリに痩せてる姿にも驚嘆。

帰還してからのトビーの演技は圧巻です。

ナタリーとジェイクが、徐々に心通わせ笑顔で過ごしてたその時、戦地のトビーは、精神が破壊されるほどの体験をしていたのです。
テレビや映画でしか見たことないような出来事が、自分の家族に起こったとき、その痛みを理解してあげることなんてできないんじゃないだろうか。
あまりにも想像を絶する出来事すぎて、実感できないと思う。

逆に自分の身の上に起こったときだって、もう平穏な生活に身を浸らせることなんてできないんじゃないだろうか。この苦しみは誰にも理解できない、と思うんじゃないだろうか。

戦争を体験していない人が、戦争の本当の辛さを実感できないように。

だからトビーが、苦しくて、誰も信用できなくて、頭がおかしくなってしまったのも、納得できる。だけど、その苦しみを和らげることなら、できると思う。同じ痛みを感じて共有することが無理なら、痛みや苦しみを癒してあげればいい。

実際にはそんな簡単なことじゃないけど、その努力をし続けるのが夫婦だと思し、添い遂げるってそういうことだと思う。

この映画のラストも良かった。白黒はっきりつけない終わり方が、後々まで観る側の心を揺さぶり続けます。じっくり考えさせられながらも、じんわり温かい気持ちになれる、良い映画でした。
[PR]
by myums | 2010-06-25 23:00 | 映画・海外ドラマ ま行
三輪明宏絶賛の『ラブリーボーン』を観ました。

14歳で変質者に殺されてしまった少女が、現世と天国の狭間から家族を見守る奇跡の物語。ってことなんですが、本当に見守ってるだけです。

クラスメイトにちょっと姿を見せたり、空気を揺らすことで存在を知らせたりするものの、犯人逮捕に一役買うとか、メッセージを送るとかってことは一切ありません。

というか、前評判に踊らされて、ミステリー要素や奇跡の感動をこの映画に期待しちゃいけません。なんと言っても、監督は、ロード・オブ・ザ・リングのピーター・ジャクソンです。

ファンタジー大好き、ダイナミックなカメラワーク大好き、自分の世界観をスクリーンで爆発させるの大好きな、あのおっさんです。

ピーター昔
c0057810_20491642.jpg


ピーター今
c0057810_2051930.jpg


この映画の見所はビジュアル。といっても、これまでピーターが描いてきた少年アドベントチャーではなく、今回はとってもラブリーキッチュなガールズワールド。
70年代という時代設定に合わせ、ピンクや黄色のちょっとサイケな映像になっていて、ほんとに可愛かったです。

殺された少女がいる現世と天国の狭間は、どうやら少女の心情とリンクしているみたいで、彼女がhappyなら水彩画のように柔らかく幻想的な大自然が広がりますが、彼女が悲しみや不安を覚えると、途端に色を喪った灰色の世界に変化します。

映像の変化で、感情と時間の移ろいを見せるアプローチは、すごく上手。巧みなカメラワークも健在。裸の膝頭のアップから顔へと絞っていく動きとか、さりげないけど、うまいな〜って思わせてくれます。

でも、そのカメラワークの巧さが、図らずも映画に謎めいた雰囲気を漂わせてしまい、観客にサスペンス要素を期待させてしまったかも。そうなると、少女の最後の選択がどうしても不可思議なものに思われて、「この映画の主題は何?」ってな感想になる人も多いと思います。

私の予想では、こんな感じ。

ピ―ター原作を読む → おぉ!このファンタジックな世界観を僕の力でビジュアル化してみたいよ!→ それには大金がいる → 観客が好みそうな、ミステリと家族愛も少し描いて集客しよう → 製作総指揮にスピルバーグの名前を借りて、もっと集客しちゃおう!

スピルバーグの名前を借りるところがあざとくて嫌だな〜。
多分、自分でも、この映画のメッセージングの弱さに気付いてるんじゃないかな。こういう映画を撮るなら、もっと少女の心の内部にフォーカスを当てて説得力を出さないと。観客が少女の心理とリンクすることで、幻想的な映像がより一層生きてくるのだから。

女性受けを狙うなら、「共感」は外せないポイントですよ、ピーターさん。
[PR]
by myums | 2010-01-30 21:20 | 映画・海外ドラマ や・ら・わ行
『君のためなら千回でも』を観ました。
すごく良かった!
登場人物がアフガン人ばかりなので、聞き慣れない中東アクセントに悪戦苦闘でしたが、それでも、今年一番と言えるほど、良かったです。
特に前半。


70年代後半、まだ平和だった頃のアフガニスタン。
富裕層の子供アミールと使用人の子供であるハッサンは、生まれたときから一緒に育った大親友でした。その絆はとても強く、特にハッサンがアミールによせる忠誠心は、ちょっと偏った印象すら与えるほどです。

実際、近所の悪ガキ3人組から「お前らホモだろ。キモイんだよ!」的ないじめを受けたりしてます。私も、ハッサンのアミールを見つめる熱い視線には、男同士の友情を超えた何かを感じずにはいられませんでした。

しかしそれも後に起こる事件の伏線だったのかもしれません。
町で開催された凧上げ大会に優勝したアミールとハッサンコンビ。賞賛の中心をアミールに譲り、ハッサンは凧を追って人気の町中へ走ります。
しばらくして、ハッサンを探しに出かけたアミールは、なんと、ハッサンが悪ガキ3人組の1人にレイプされている現場を目撃してしまうのです。

なんという展開!!

思わずその場から逃げ去ってしまうアミール。
そして、片足を引きずりながら現れたハッサンに、「どこ行ってたんだよ。探してたんだよ」と、チョー普通に挨拶。
「なんでもない」と答え、アミールとともに歩き出すハッサン。その足元に、鮮血がポタポタと落ちていくのでした。

かわいそうすぎる・・・。

きっとアミールは、ハッサンを待ちながら煩悶したんでしょうね。
「どうしよう。なんて声かけよう。無事か? なんて聞いたら、逃げたことがばれちゃう。ああ、僕はなんてズルくて弱い人間なんだ。でも、僕まであんなことされたら、それもそれで地獄だ。ケンカ弱いし。かないっこないもん。
よし、ここは、見なかったことにしよう」。

でも、見なかったことにできるレベルのことじゃありません。
その日からアミールは、ハッサンと距離をおくようになります。それどころか、「お前は弱虫だ!!」とハッサンを罵りながら果物を投げつけたります。ハッサンは果物を拾い上げると、それをアミールに投げ返さず、自分の顔になすり付けます。
服も顔も果汁で赤く染まったハッサン。

ハッサンは、アミールが自分を助けず逃げてしまったことに気付いていたのでしょう。「それでも僕は君のために血の涙を流そう」。ハッサンはそんな気持ちで、強い決意を込めて、赤く染まっていたように思いました。

赤い果汁まみれになったハッサンの姿が、レイプされ鮮血をしたらせていた姿とタブッて、とても切ないシーンでした。

アミールを見るたび罪の意識に苛まれ、自分の弱さを認めざるを得ないハッサンは、その苦しみから逃れるため、ハッサンを追い出そうと画策します。
結局ハッサン一家は、アミールの策略とは別の理由でハッサンの家の使用人を辞めて出て行き、それきり音信不通となりました。

その後すぐにアフガンはロシアの侵攻に遭い、アミールも父と共にアメリカに亡命し、二度と故郷には戻らないというか、戻れない状態になるのです。
アメリカで貧しいながらも自由な生活を手に入れ、学校も卒業し、家庭も手に入れたアミールの元に、一本の電話が。

それは、父親の親友からの電話でした。
「アミール、君はアフガンに戻らなければいけない」。

彼から「真実」を聞かされたアミールは、タリバン政権支配下のアフガンへ単身乗り込んでいきます。
ここの展開だけは、調子良すぎで安っぽい印象になってたのが残念。
アミールが突如無敵のヒーローになっちゃった雰囲気で、違和感がありました。

でも、ミッション・コンプリートした後のアミールが、「正しいことを正しい」と胸を張って言える人間に成長した姿はとても印象的です。
弱い自分を克服して強くなった人間は、弱さを知っている分、懐が深い。
アミールの、過去の罪に対する贖罪の旅は始まったばかりだけど、これから少しずつ、再生していける。彼はその希望を自分の手でつかみ取り、その希望に対して、今は言える。幼き日に、ハッサンがかけてくれたあの言葉。

「きみのためなら千回でも」

人間は誰しも弱さを持っている。
同時に、誰しもが強くなれる可能性を持っている。
そんな希望が、高く青い空に広がるラストでした。
[PR]
by myums | 2009-07-09 15:18 | 映画・海外ドラマ か行

チェンジリング

アンジェリーナジョリー主演、『チェンジリング』を見ました。
私の苦手な、クリント・イーストウッドさん監督作品。
また説教臭い映画なんだろうなと期待せずに見たのですが、これがなかなか面白かったです。

アンジェがハスキーボイスで叫ぶ!叫ぶ!うなる!むせび泣く!!

その辺りは、ドラマティック大好きなクリントさんらしい作りかと思います。

かなり展開が早いので物語の掘りが浅くなっていて、そこがもったいなかったかな。
物語を舐めるのではなく、母の心情を深く描くとか、マルコビッチをもっとうまく使っても良かったし、精神病院のシーンだってもっともっと興味深いエピソードになり得たのにな。
でも、子を持つ母や、これから母となる女性、いつか母になりたい女性には、ぐっとくるシーンがたくさんあると思います。アンジェは迫力満点です!

あと、警部役の人、『Burn Notice』っていうTVドラマに出てて、そこでははまってるのに、この映画で見たら、演技ひどい!
役柄の違いもあるだろうけど、テレビ界と映画界ってレベルが違うんだろうなぁ。
[PR]
by myums | 2009-06-03 22:16 | 映画・海外ドラマ た行

Into the wild

『イン トゥ ザ ワイルド』を見ました。

裕福な家庭で育ち、優秀な成績で大学を卒業した青年が、物質的に恵まれすぎている環境に嫌気がさし、ヒッチハイクでアメリカ縦断し、アラスカの荒野を目指すというお話。

普通、バックパッカーって、貧乏でも多少の蓄えは持ってますよね。そして旅の醍醐味は人との出会いですよね。彼の場合、それとは違って、無一文です。しかも自ら無一文になるべく、お金燃やしちゃうんです。そして、彼の旅の醍醐味は、たった1人で荒野で生きていくこと。

アラスカの荒野にぽつんと打ち捨てられたバスを住処にし、狩りで食べつなぎ、広大な自然の中で「自由」を実感する。
雪深く、寒さ厳しい冬、動物も獲れなくて、ガリガリにやせ細る青年。極度の空腹のために気が狂いそうになりながら、誤って毒草を食べてしまい、苦痛にのたうちまわるのです。たった一人で。

彼があれほど切望していた「自由」な生活は、今や死へとまっすぐに伸びる一本道となり、青年を恐怖に陥れます。青年の日記に綴られる、「Scared」「Alone」という言葉がとても切なく、とてもむなしい。

私は、この青年の情熱を素敵だと思います。自分の信じる「自由」をここまで追求できる人はなかなかいません。
一方、彼は精神的にまだまだ未熟であったと思います。旅の頭から終わりまで、彼の興味の対象は一貫して、「自分」です。「自分を分かってくれる人、価値観を共有できる人」だけが味方であり、両親のことは、「どっかで暮らしてるんじゃん?」と投げ捨てるように言い、家族がどれだけ心配しているかなんて考えもしません。

でも、結局死ぬ直前に思い出すのは、母親の姿なんですけどね。

Happiness only real when shared.

死ぬ直前に彼がつかんだ真理。
これって、死と引き換えにして理解するような真理じゃない。
「幸せは分け合ってこその幸せ」なんてこと、普通に生活してても、経験とともに体得できますよね。なんだか、そこがむなしかった。
きっと彼もむなしかっただろうな。誰もが口にする、きれいごとのような言葉こそ、実は真理であったなんて。


映画としては、経験値ゼロの青年が激流下りに見事成功!など、ご都合主義で分かりやすい展開ですが、主人公のエミール・ハーシュの演技が自然体であるのに力強く、映画に説得力を与えています。旅の途中で出会う、おじさんたちも素敵。監督であるショーン・ペンの年齢が近いからかな。目線がとても優しく感じました。

自然の描写も美しく、Based on True Storyなだけあって、見応えのある映画です。


how important it is in life not necessarily to be strong... but to feel strong.
(必ずしも強くある必要はない。大切なのは、自分のうちに強さを感じることだ)

映画冒頭に出て来たこの言葉にとても共感しました。
[PR]
by myums | 2009-04-03 21:09 | 映画・海外ドラマ あ行
c0057810_1473062.jpg



『ベンジャミン・バトン』を見ました。

80代で生まれて若返っていく男の人生を描いた作品。
80代で生まれるって、老人生むの?そんなのお母さん出産無理じゃね?と思っていたら、普通の赤ちゃんの大きさでした。でも、見た目はしわしわだし、内蔵も老人。医者にも2週間もしないで死ぬだろうと言われ、恐ろしくなったお父さんが、ある黒人女性が経営する老人ホームの前にベンジャミンを捨ててしまいます。

ラッキーなことにその黒人女性はとても優しい人だったので、ベンジャミンは愛情に包まれて育つのです。育つって言っても、からだは大きくなるけど見た目はおじいちゃん、精神年齢は子供。

そんな異常な中にあっても、ベンジャミンは「仕方ない。こういう病気だから」とある程度自分を受け入れて、一人の人間として人生を楽しんでいるので、悲愴感がないんですね。そこが良かったですね。
車いすに乗ったおじいちゃんのベンジャミンが、ミニカーで遊んでる姿なんて、なんだかかわいらしい。そういう微笑ましかったり、思わず吹き出しちゃうような場面もたくさんあって、テーマの重さと対照的に見る側に苦痛を与えない映画でした。

話題になった老けメイクと若メイクですが、ブラピの場合、老けメイクはいけますね。こういうおじいちゃんいそう。でも若メイクはきつかった。20前後の設定のときは、仄暗い明りの下にしか登場せず。たぶん、ごまかしくのきく最低限の明りがあれだったんでしょう。ぼんやりとした中に見え隠れするブラピの若メイクは、はっきり言って、コワイ…。蝋人形みたいでした。

逆に、ケイト・ブランシェットの若メイクは超キレイだった!肌艶やばい。毛穴ゼロ。
老けメイクの方が無理がある感じでしたね。

若返っていくベンジャミンの行き着く先は。そう。赤ちゃんです。つまり、記憶もゼロになっていくのです。これまで出会った人々、辿って来た人生、感じたこと、すべてを忘れていくのです。ちょうど年老いた人が昔の記憶をとどめていられないように。

年老いて昔のことを忘れていくというのは、子供に戻っていく、そんな感覚に近いのかもしれない。でも、いくら年老いても、ぼけたとしても、何もかも忘れてしまうわけじゃない。皮膚感覚で残る記憶が必ずあるはず。ベンジャミンの心の奥にも、たったひとつ、消え去ることなく残っていたんじゃないか、そんな風に思いました。


最後にひとつ。
この映画の原作って、20ページくらいの短編なんですって。それをここまで膨らませた脚本家がすごい!! アカデミー脚本賞も納得の受賞です。
[PR]
by myums | 2009-03-07 01:40 | 映画・海外ドラマ は行

BOY A

c0057810_23343832.jpg


『BOY A』を観ました。

今年ベストと思える映画でした。

窓から柔らかな日が差し込む部屋で、テーブルを挟み向かい合う出所前のジャックと、彼の父親のような存在であるソーシャルワーカー(?)のテリー。
テリーから、escapeと書かれたスニーカーをプレゼントされて、「I don't Know What to say...」と口ごもるジャックに、「Say Thank you」と優しく教えるテリー。
ジャックは思わず立ち上がり、テリーに抱きつきながら、「Thank You」を繰り返すのでした。

映画はこんなシーンから始まります。
気持ちを言葉に表すのが苦手で、繊細で純朴な青年。
ジャック演じるアンドリュー・ガーフィールドは冒頭シーンで、私たちにジャックの柔らかさを印象づけます。

悪人にはとても見えないジャックがどんな罪を犯して刑務所に入っていたのか、この時点で観客には分かりません。出所後のジャックが新しい人生を送る過程で、過去の罪を思い出し苦しむことで、私たちにもその罪の内容が徐々に知らされていくのです。

この構成はうまいですね。
まず、ジャックという繊細な1人の青年を理解してもらって感情移入させることで、ジャック=犯罪者=悪人っていう先入観を観客に植えつけない。

とは言うものの、実は私は事前にPLOTを読んじゃってたので、彼の罪状ってのも知ってて観たんですが、それでも十分良かったです。知っていたからこそ、ジャックの揺れ動く感情の機微とか、微妙な表情の動きとか、深く味わえた部分もあったかなって思うくらい。



c0057810_23384535.jpg



ジャック演じるアンドリュー・ガーフィールドの演技はうまくって、心掴まれます。
「俺には幸せになる権利はないのでは」という罪悪感と、「新しい別の人生」への希望の間で揺れ動く心情を、繊細に痛々しくも、とても素直に演じていました。

特に、交通事故から少女の命を救い、周囲からヒーロー扱いされた時の、複雑な表情は、ぐっときました。

助かった少女と、死んでしまった運転手。あの交通事故の一件を通して、命の重さと、自分の犯した罪の重大さを、ジャックは改めて噛みしめていたのではないでしょうか。
そして、少女の命を助けたことで、自分の罪が少し清算されたようにも感じていたのかもしれません。

だから、生まれて初めて愛した女性にだけは自分の本当の過去を打ち明けたいと思ってしまう。しかし、テリーから「今でもお前を憎んでいる人間がいる。誰にも過去は話してはいけない」と反対され思いとどまります。

この時のジャックは、嘘をついているようで心苦しいんだ、とテリーに訴えますが、実のところ、心の底に甘えがあったんじゃないかと思います。過ちは過去のことだから、彼女なら許してくれるんじゃないか、その罪をひっくるめて丸ごとの俺を愛してくれるんじゃないって。

しかし、社会はそんなに甘くない。

ジャックは確かに純粋で優しいはにかみ青年です。罪を憎んで人を憎まずなんて言葉があるように、ジャックはとても憎めるような人間じゃない。
長年に渡る刑務所生活で十分罪を償ったとも言えるでしょう。
だけど、やっぱりジャックは他人に対する想像力が欠落していて、犯した罪の重さや被害者の遺族の苦しみにまで、考えが到達してない印象を受けました。
自分の苦しみには敏感なのにね。

たとえば、入社してきた隣の同僚が、気弱だけどめちゃくちゃいい人で、一緒に飲みに行ったりする友達になったとするじゃないですか。
半年くらいした頃に、実は彼が光市母子殺人事件の犯人(実際には死刑確定してますけど)だって分かったとしたら、どうですか? 今夜も一緒に彼と飲み行けますか?

できる!と言い切れる人はよっぽど慈悲深いか偽善者です。
私だったら動揺して距離置きます。その人の中に潜む暴力性を感じて怖いと思うかもしれない。
それは仕方ないと思います。だって、ことが殺人ですから。

しかし、だからといって犯罪者は一生日陰の身でいろとは思いません。犯罪者にも人生を再生する権利があると思います。だから、一生秘密にして欲しい。その苦しみは、一生自分の背中に背負って、誰かと分かち合えるなんて思わないで欲しい。ましてや社会に理解をしてもらうとか、罪を忘れてもらおうなんて、思わないで欲しい。

んー、やっぱり私は無意識の成敗者になってるかも?


c0057810_23394652.jpg



テリーとその引きこもりの息子とか、とってつけたような設定がちょっと気になりますが、役者もいいし、静かな中じわじわと高まる緊張感に引きつけられる映画です。最後の、晴れたブライトン・ビーチのシーンは、夢なのか現実なのか線引きができないくらい幻想的で、素敵でした。

物語はひたすらジャック目線で進むのですが、それに流されず、きちんと自分の目でこの映画を見て欲しいと思います。
[PR]
by myums | 2008-11-12 01:19 | 映画・海外ドラマ は行

The Visitor

c0057810_2172757.jpg


『The Visitor』を観ました。

妻と死別して、書くことにも教えることにも情熱を失い、なんとな〜くただ生きてるだけの大学教授のウォルター、62歳。枯れてます。
ある日、20年以上も放置プレイだったNYのアパートに訪れると、なんとそこには見知らぬ若いカップルが住んでいました。
お互いにびっくり仰天。
話を聞くと、中東出身のトレイクとザイナブの2人は、どうやら住処がない様子。二人を不憫に思ったウォルターは、新しいアパートが見つかるまでの間、自分のアパートに住まわせてあげることにします。

ウォルターはトレイクの演奏するジャンベに興味を持ち、のめり込み始めます。ジャンベを叩いていると、ビートと一体になることができる。頭の中は無であるのに、確かに自分は存在していると感じることができる。


c0057810_220241.jpg



ウォルターを演じるのは、私のベスト・北米ドラマ
『シックス・フィート・アンダー』で主人公の死んだ父親役をやっていたリチャード・ジェンキンス。シックス〜のときは、人生を達観した(と言ってもすでに死んでる亡霊ですが)粋なおじさま役がとても似合ってました。
彼は華もなくて、演技も味なんだけど、ちょっとすねた感じの表情が、「この人って内に色んなものを持っていそう」と思わせてくれる。目立たないのに印象に残る役者さん。

ウォルターは惰性で生きているように見えるし、本人もそう思ってるみたいですが、心の底ではパッションを求め続けていたんだと思います。そして音楽が大好き。自分が思っている以上に、情熱的な人。
大学のキャンパスで生徒が演奏するバケツドラムを耳にした瞬間、その激しいビートとリズムに心を奪われて、足蹴く通います。本当はビートに合わせてダンスしたいくらいなのに、隣でさりげな〜くランチを食べながら演奏を聞いたりして。

そういうのわかるな〜。
私も結構そういうタイプ。スポーツ観戦とかしてても、淡々と見ちゃって、立ち上がって盛り上がってる周囲との温度差が寂しかったりすること、あります。かと言って、別にしらけてるわけでもなく、心の中では大興奮なんですよ。周りと一緒に私も盛り上がりたい欲求はあるんですが、なぜかそれが外に現れない・・・。悔しいもんだから、無理矢理テンションあげて、後でどっと疲れちゃったりして。

だからこそ、自分の殻をぶち破って感情を発散できることに出会えたときの感動は、計り知れないのです。抑えきれない感情が津波のように押し寄せて、それに飲み込まれて、体外に爆発させるときの高揚感と充足感。
ウォルターは情熱を注げるものにやっと巡り会ったのです。


c0057810_220422.jpg



ジャンベを教えてくれたトレイクとの間に友情も芽生え、ウォルターは生きる活力を取り戻して行くのですが、ささいなことからトレイクが警察に捕まり、違法滞在者であることが発覚してしまいます。

正直言って私は、トレイクの祖国シリアの現状を知らないし、アメリカの不法移民問題も知識としては知っていても現実を目の当たりにしたこともありません。
だから、知ったかぶりなことは言えませんが、誰にも彼もビザを発給することはできないから、アメリカに経済効果をもたらしてくれる人だけがグリーンカードの対象になってしまうという国の事情も理解できるし、窓口の人間だって1人1人に感情移入していては仕事にならないでしょう。
一方、トレイクのような弱者は不当に扱って切り捨てても良いという姿勢には、人間として憤りを感じたりもします。

たとえば、2世代に渡ってアメリカに住み、滞納することなく税金を納め、近隣からの人望もあり、コミュニティーに貢献している健康な人物には労働ビザを発給、なんて制度があったら良いのに。「人格優良者ビザ」とか!?

やっぱり移民問題に直面してないから、発想がくだらないですね・・・。

この映画が良かったのは、移民問題を絡めながらも大仰な社会派ドラマとしてではなく、最初から最後まで一人の初老男性の人生ドラマとして描かれていたところ。核がぶれなかったのは、本当に良かった。

ハッピーエンドではないのに、確固たる強さを感じる映画です。


いただけないのは、予告編。
ベタなお涙頂戴物みたくなってて、cheezy!!
[PR]
by myums | 2008-09-27 23:29 | 映画・海外ドラマ は行

ウォーリー -Wall-E-

c0057810_22434935.jpg


Wall-E を観ました。
ピクサー映画では、ファインディング・ニモ以来に秀逸と思えた作品でした! とってもキュートで、楽しくて、スイート。

なんといっても、ウォーリーのキャラがかわいい。
ウォーリーはゴミ処理ロボット。巨大なゴミ惑星と化した地球で、700年もの間たった1人でゴミを処理し続けています。
薄ら汚くてオンボロもいいところのロボットなんですが、とっても好奇心旺盛。ゴミの山の中から自分だけの宝物を見つけては、オウチに持って帰ってコレクトしてるんです。
そのオウチが、またかわいくて。
電球でキレイに飾り付けされてたり、回転式の棚にコレクションがズラリと並んでいたり、ウォーリーが毎日毎日少しずつデコレイトしていった感じが伝わってくるんですよね。

一番好きだったのは、ゴミ処理中にゔるるるるるるるるるるって小刻みに震えるウォーリー。目が半目なのがウケる〜。まねしてやったらBooがオオウケしてました。

ウォーリーの友達は、ゴキブリ君。ウォーリーの周りをちょろちょろしてるので、よく間違えて踏みつぶされますが、絶対死にません。さすがの生命力です。


c0057810_223732100.jpg



そんなある日、空から大きな宇宙船がやってきて、真っ白でツルツルしたロボットを置いて去って行きます。彼女の名前は、イヴ。でもウォーリーは発音できなくて、「イヴァ」と呼びます。これがまた、たどたどしくて、「いぃぃぃぃいば?」って感じでかわいいんです。


ウォーリーはイヴァに恋をします。
彼女の気を引こうと、ゴミの山の中から見つけた小さな植物を見せた途端、イヴの体の一部がパカっと開き、中に植物を引き込み閉じると、そのまま動かなくなってしまいます。

蚕の繭のように動かずしゃべらなくなったイヴ。それでもウォーリーはイヴを雨から守り、名を呼び続け、ちょっとしたデートに連れ出し、彼女が戻ってくれるのをひたすら待ちます。
ここの場面、すごく切ない!!

この辺まで出てくる会話は、「うぉ〜り〜」、「い〜ば〜」、くらいです。ロボット同士なので、会話らしい会話もないんですが、表情豊かに感じるのがすごいです。
名前の呼び方のバリエーションだったり、目や手足の動きなどで感情を伝えるのです。無機質なものに命を吹き込む手法って、ピクサーはほんとに上手。ウイリーの目がへにょーんって下がったりするの見ると、胸がきゅーんとなっちゃう。

イヴのツルツルな質感とか、降り注ぐ日差しの柔らかさとか、フォーカスを絞ったような見せ方とか、そういう映像技術ももちろん素晴らしいんですけど、アニメのべたっとした感触の良さも忘れてなくて、その辺のバランスもいいなって思います。

予告編みてみて。



もう1つ面白かったのは、人間の描き方。
中盤、ウォーリーはイヴを連れ去った宇宙船にくっついて宇宙へ飛び出します。宇宙船は、地球という住処を失った人間が、すべてを機械制御に頼って生活しています。食事はすべて液状化され、どこへ行くにも自動イスみたいのに乗って移動。運動不足に栄養過多のせいで、みんなデブ。自分の足で立つことさえできなくなってるのです。
そんなですけど、話してみるといい人ばかり。
彼らにしてみれば生まれた時から宇宙船内でそういう生活をしているのですから、デブが普通、動かないことが普通なだけで、脳みそまで腐ってるわけじゃないんですね。望郷の念を持ってるのです。

「地球」を有毒ガスで住めなくなるほどのゴミ惑星にしてしまった先祖に代わって、自分たちが地球をもとの姿に戻していこう。地球は、我々のふるさとなんだから。


環境汚染、地球温暖化と警鐘を鳴らすことも必要だけど、この映画のみたいに希望を与える描き方っていうのはなんか嬉しくなりますね。この映画を見て少しでも多くの子供が、地球がゴミ惑星になってしまう前になんとかしよう!って思ってくれたら嬉しいな。
もちろん大人もね。
[PR]
by myums | 2008-09-15 22:46 | 映画・海外ドラマ あ行