私の好きな
ウィル・フェレルの新作
『主人公は僕だった』を見ました。
ウィル演じるハロルドは、毎朝同じ時間に目覚め、縦に64回横に72回歯を磨き、1,895歩でバス停まで歩き、同じ時間のバスに乗って出社するという、笑っちゃうくらい几帳面な男。
(注:数字は覚えてないので適当に入れ込みました)
映画は、ハロルドのそんな地味~な生活をブリティッシュアクセントのナレーションつきで追っていきます。
ナレーションってのは普通、観客にだけ聞こえるもので映画の中の主人公に聞こえるものじゃありません。ところが、いつもと同じ時間に起き、歯を磨いていたハロルドの耳に、自分の行動を描写するブリティッシュアクセントの声が聞こえてきたのです。
「ハロルド・クリックは縦に64回、よ・・・」
だれっ!?
振り返ると、声はピタッと止む。
首を捻りながら歯磨きに戻ると、
「こに72回歯を磨く」
と、続きが始まる。
その日を境にハロルドは、自分の一挙手一投足を24時間休むことなく描写するその声に悩まされることととなるのです。
一体全体、この声はどこから来てるのか?
自分はおかしくなってしまったのだろうか?
それだけでもドリフ並みにあり得ない設定ですが、このナレーションの正体はもっとあり得ません。本当に絶対あり得ない設定なので、物語に入り込んで共感しちゃうとか、感動しちゃうとかはないんですが、淡々と一人の生活を送っていたハロルドが、恋をしたり、憧れのギターを買って弾いてみたりと、楽しい生活に変えようとする姿がとってもキュートなのです。
これもウィル・フェレルのいい人オーラの成せるわざ。
間の抜けた顔に、ムダに高い身長(190cmはあります)、くるくるのふわふわ頭に子犬のようなつぶらな瞳。こういう人が奮闘する姿って、どこかほのぼのしてて、思わず微笑みたくなっちゃう。
ウィル・フェレルじゃなきゃ、この映画はここまで良いものにはならなかっただろうな。
ハロルドが恋に落ちるのは小さなベーカリーを営むアンという女性。アンを演じているのは
マギー・ギレンホールで、
ジェイク・ギレンホールのお姉ちゃんです。
マギーってホッペ垂れててブルドッグ顔なんですけど、コケティッシュな雰囲気でフレンチブルドッグみたいな可愛さがあります。情が厚くて芯の強い役やるといい味出す、素敵な女優さんです。
アナは、消耗しきったハロルドにクッキーを焼いてあげます。ハロルドが、「クッキーは好きじゃない」と言って断ると、アナは心底驚いた声をあげてこう言うのです。
「ホームメイドクッキーが好きじゃない人なんているわけないじゃない。
誰だって、ママが焼いてくれたクッキーを食べて元気になった思い出を持ってるはずよ」
へー。私が子供の頃なんて、クッキーといったらスーパーで買ってきたものしか食べたことなかったなぁ。
Booにもママの手作りクッキーの思い出ある?と聞いてみたところ、
「もっちろんだよー!」と言ってました。
ママの手作りクッキーは北米では一般的らしいです。
日本でママの手作りおやつって言ったら何でしょう。
せんべい焼くママなんて聞いたことないし。
この映画でもう1つ楽しかったのが、映像デザイン。
普通に流れていく映像の上に、ホワイトで計算式とか数字とか文字とか、ラインとか書き込まれていくのです。これが映画前半のハロルドの淡々とした調子とすごくマッチしてて(・∀・)グー!
それからアンの経営するベーカリー。これがまたいいんです。壁をくり抜いたようなまん丸の窓の前にはペンキが剥げかけた緑色のベンチ。キッチンの真ん中に木製のテーブルが1つあって、その上でアンは白いパン生地をこねます。今にもパンの焼ける香ばしい匂いが漂ってくるかのよう。ぬくもりを感じる映画後半の演出にピッタリでした。
ストーリーはいまひとつでしたが、キャスティングと演出に楽しみが詰まってて、見てるだけでなんだかウキウキする映画でしたよ。
✲おまけ✲
原題の『Stranger than Fiction』って、日本にもあることわざです。
さて、なんでしょうか。
答えは続きからどぞ。
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