カテゴリ:映画・海外ドラマ は行( 38 )

 

ブルーバレンタイン

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久々の映画レビューにふさわしい映画、『ブルーバレンタイン』です。

結婚7年目を迎え、絶頂倦怠期のディーンとシンディ。
3歳になるかわいい娘のためにも、何とか平穏な家庭を続けていきたい。
互いに努力するものの、どうしても交差しない互いの気持ち。


このままでは愛が消えてしまう。
俺はまだシンディを愛している。

2人の愛を取り戻すため、ディーンは2人でホテルに泊まろうとシンディをデートに誘います。嫌々ながらもかすかな希望を持ち承諾したシンディでしたが、ホテルで過ごした時間は苦痛以外の何者でもありませんでした。

ディーンに対し、嫌悪感さえ抱いている自分に気がついたシンディ。

もう、彼とは一緒にいられない。


そんな冷め切った二人にも、強く惹かれあっていた頃があったのです。
辛い現状の合間に流れる、出会ったころの幸せなエピソード。
路上で踊ったり、じゃれあって笑ったり、無邪気でとてもかわいらしいカップルだった。
永遠の愛を確信していたのに、いつの間にか、相手の何もかもがいやになってしまっていた。


この映画は、出会いと終わりだけを描き、その間に起こった賭け違いの部分は描かれていません。それがまた作品にリアリティーを与えてます。
だって、愛が倦怠に変わるのって、ドラマティックなきっかけじゃなくて、たわいもない小さな違和感の積み重ねですよね。ディーンとシンディも、毎日の生活の中で感じていた違和感に目をつむりながら過ごしてしまったんでしょう。


恋愛の持つ脆さと切なさが分かる人に見てもらいたい映画です。
構成もいいし、役者もいいし、リアルに胸に響きます。

でも、ライアン・ゴスリング(ディーン役)の禿げチョビン姿には笑っちゃう!
シンディ的には、「禿げ散らかしたアンタに用はないわ!」ってところだったんじゃ。
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by myums | 2011-05-26 22:25 | 映画・海外ドラマ は行  

ブラック・スワン

私の好きなナタリー・ポートマンとミラ・ニクスのベッドシーンがあるっていうことで、『ブラック・スワン』を見ました。

一言で言うと、過干渉の母親に育てられたニナ(ナタリー)の性的欲求不満爆発映画。
ニナは、自分に自信がなく、被害者妄想も激しく、精神的に未熟な人間です。これもすべて抑圧された性欲から来てるらしく、映画全般にわたって、ニナのマスターベーションシーンやレズビアンシーン、セクシャルシーンが満載。

さっさと処女捨てて恋愛楽しめばいいのに!と思うんですが、そこは二ナの潔癖さが邪魔して妄想だけで終わっちゃうんですね。なんだか思春期の中学生みたいです。抑圧されればされるほど、興味が湧いてきて、頭の中がそればっかりになっちゃう、みたいな。

相手役がニナ・ミクスだったのは良かった!
彼女は北米のTVコメディ「That's 70s Show」から火がついた女優さんで、これまでにも日本ではあまりヒットしなさそうなコメディ映画なんかに出演しているんですけど、大きな目と豊かな髪と華奢な体つきが、セクシー&キュートなんです。

ブラック・スワンでは、彼女のそんな特徴を最大限に生かす、自由奔放で欲望に忠実なリリー役をこなしています。自分とは対照的であるが故に、ニナは、リリーに対しコンプレックスを感じると同時に強く惹かれていきます。

2人のベッドシーンは短いながらも、妖しくってセクシー。


全体的には、少し期待はずれでした。
というのも、私は、スワン役をめぐっての心理サスペンスを期待しちゃってたんです。蓋を開けてみると、ニナが勝手に妄想に走って自分で自分を追い詰めていく、完全に一人相撲な展開だったので。
あと、カメラワークがBusy過ぎだかな。あそこまでゴチャゴチャさせる必要はないような。
現実と妄想がシームレスに続く映画ならアイズ・ワイド・シャットやジェイコブズ・ラダーのほうが面白かったなー。
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by myums | 2010-12-30 15:16 | 映画・海外ドラマ は行  

ファッションが教えてくれること - September Issue-

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『ファッションが教えてくれること』を観ました。

面白くないことはないけど、全体的にパッションが欠けてましたね。
雑誌編集業界の大変さは分かりましたけど、でもどんな業界でも、大きなLaunchの前ならあのくらいの厳しさや忙しさは当たり前です。何もヴォーグや雑誌業界に限った話じゃありません。
その目まぐるしさの中にあっても、仕事に対するパッションがあるから、物語が生まれるんです。

ドキュメンタリー映画に一番大切なもの、それはパッションだと思うんです。
例えばこの映画なら、アナの、ヴォーグやファッション業界に対する愛情や情熱ですね。

そもそも映画の作りが、アナ本人よりも、彼女の20年来の片腕あるグレイスのほうにフォーカスしてて、しかもグレイスのキャラクターや人生観の方が興味深いときたもんだ。

髪はボサボサ、化粧っけもないグレイス。ハイ・ファッション雑誌ヴォーグで働いているようには見えない彼女ですが、元モデルだっていうから、これまたビックリ。
交通事故にあって美しい外見を失ったグレイスはモデルをあきらめ、ヴォーグで編集者として働くようになります。
グレイスの自宅の壁には、モデル時代の写真がところ狭しと飾られていました。力強い視線を持ったとても美しい少女。今のグレイスの面影もありません。
きっと、彼女は「美しくあること」に人並みならぬプライドを持っていたのでしょう。ボサボサな髪も化粧っけのなさも、事故で外見の美しさを失ったグレイスの必死の抵抗なのかもしれません。

ヴォーグの仕事においても、アナとよく衝突するグレイスは、自分の存在価値に不安を覚えていました。美しいアナ、強いアナ、絶大な支持と影響力を持つアナ、ファッション界をリードするアナ。アナのカリスマ性を認めながらも、嫉妬を感じ、自負心を持て余すグレイス。

自信を持って出した仕事をアナに却下されて心弱くなっていたグレイスですが、パリで美しい庭園に遭遇し、大きな感動を覚えます。
「美しいものは世の中に溢れている。私は美しいものが好き。美しいものが心を揺さぶる瞬間が好き」
吹き抜ける風を受けながら、庭園を見つめるグレイスの表情がとても印象的でした。


しかし、残念ながら、それがこの映画をおもしろくしているかと言ったら否です。やっぱりヴォーグの顔であるアナにもっとフォーカスしないと、説得力がないですよ。

アナは「氷の女」とか言われてるみたいだけど、この映画を見る限り、人の意見には一応耳を傾けるし(結局は自分の意思を通すとしても)、情も厚いし、Coolだけど、嫌な人ではないように見えました。

だからこそ、仕事やファッションに対する情熱をアナに語って欲しかった。なぜ彼女がそんなにスペシャルなのか。それが伝わってこないために、アナの娘が言った「ファッションは確かに楽しいけれど、それがすべてにはなり得ない。世の中にはもっとたくさんのことがある」というコメントの方が、よっぽど説得力を持ってしまいました。

でも、アナのぶった切りコメントは面白いです。シエナ・ミラーの笑顔写真に、「歯がToo Much」だって! 私もそう思う。
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by myums | 2010-02-03 11:49 | 映画・海外ドラマ は行  

500日のサマー (500 days of Summer) キュートなマシュマロ・ムービー

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『500日のサマー』を観ました。とにかくキュートなマシュマロ・ムービーでしたっ(〃∇〃)

永遠の愛とか運命の人とかを信じるナイーヴな青年トムが、真剣なRelationshipなんて探していないアンチ結婚派のサマーに恋をして、幸せだったり傷ついたりしながら自分自身を見つけていく。。。という、ストーリー自体はありふれたもの。
男性の方が恋に頼りすぎてて、女性の方が自立しているって点が、ほかの恋愛映画とはちょっと違うポイントかな。

これは女性にも男性にも言えることだと思うけど、自分の人生に納得してないのに、その穴を恋愛で埋めようとしたってうまくいかないわけよ。最初はうまくいってるように見えたって、それは所詮、砂の上に立ってるお城。脆い。自分の人生の土台を築けない人はダメ。

映画の主人公トムも恋愛しか頼るところがないから、サマーの一挙手一投足に振り回されて、そりゃもう滑稽なくらい大忙し。

関係がうまくいってれば、町中に笑顔が溢れ、人々はダンスしちゃう。



ディズニーの小鳥まで登場。かわいいっ(≧∇≦)

逆に関係がうまくいかなくなった途端に、ビルディングも自分も色をなくしたデッサンになっちゃう。頼りない鉛筆画と化す映像が、しゅんとしたトムの心をうまく表しています。

それほど凝っているわけでもないのに、映像によって人物の心情をうまく表現してるのが良かったです。しかも、すごくキュートで、思わずプッと吹き出しちゃうくらいコミカル。

あと、サマー役のズーイー・ディシャネルが、私好きなんですよ〜。今回も超かわいかったー。強くて自立した役柄も彼女にぴったり♡
彼女は、She&Him っていうバンドのボーカルもやってて、これがまたイイ声してる。



この映画の中でも、The Smithsのカバー曲が挿入歌として使われてます。
そう、500days of SUmmerは、音楽もすごい良かった!
特にクレジットロールで流れてた曲が気になって調べてみたら、Mumm-raというUKバンドの"She's god you high"でした。

サントラ買ってもいいかも!
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by myums | 2009-11-08 18:51 | 映画・海外ドラマ は行  

ハリーポッター

『ハリーポッターと謎のプリンス』を観ました。

前にも言いましたが、特にファンでもないのに、取り合えず観てしまうハリポタシリーズです。
今回の見所は、なんと言っても、子役の老け具合でしょう。

特に、ハリーのライバル、ドラコ。

前作
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今作
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こわい!!!

しかも彼の出演シーンすべてが灰色がかっていたので、スクリーンで観るともっとシワシワ。アキラに出てきた年取った子供みたい…。

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ロンの双子のお兄ちゃんも、立派なおやじ、いや大人になりました。生徒っていうより、教師の方がしっくりくるんじゃ??

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前作では、ロンの成長ぶりに不安を覚えていましたが、今作では、普通のイギリス人っぽくていいですね。赤毛かわいい。

ハリーにしても、ハーマイオニーにしても、もう子供じゃないのに、映画の設定に合わせてダサイ格好させられてる感じ。ちょっと無理はあるけど、ストーリー的には、これまでで一番面白かったです。

ここまでつき合ったら、ハリーの行方を最後まで見届けます!

ちなみに自慢ですが、ハリーポッターやスウィーニー・トッドに出演の彼女。

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ロンドンで行ったレストランで見かけました。
ちょうど妊娠中だったみたいで、大きなお腹をかかえてましたが、黒いドレスに身を包み、薄い唇に赤いリップをひいて、映画のイメージ通りゴシックな雰囲気。楽しそうに歓談してるのが印象的でした。
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by myums | 2009-09-12 14:56 | 映画・海外ドラマ は行  

ベンジャミン・バトン -The Curious Case of Benjamin Button-

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『ベンジャミン・バトン』を見ました。

80代で生まれて若返っていく男の人生を描いた作品。
80代で生まれるって、老人生むの?そんなのお母さん出産無理じゃね?と思っていたら、普通の赤ちゃんの大きさでした。でも、見た目はしわしわだし、内蔵も老人。医者にも2週間もしないで死ぬだろうと言われ、恐ろしくなったお父さんが、ある黒人女性が経営する老人ホームの前にベンジャミンを捨ててしまいます。

ラッキーなことにその黒人女性はとても優しい人だったので、ベンジャミンは愛情に包まれて育つのです。育つって言っても、からだは大きくなるけど見た目はおじいちゃん、精神年齢は子供。

そんな異常な中にあっても、ベンジャミンは「仕方ない。こういう病気だから」とある程度自分を受け入れて、一人の人間として人生を楽しんでいるので、悲愴感がないんですね。そこが良かったですね。
車いすに乗ったおじいちゃんのベンジャミンが、ミニカーで遊んでる姿なんて、なんだかかわいらしい。そういう微笑ましかったり、思わず吹き出しちゃうような場面もたくさんあって、テーマの重さと対照的に見る側に苦痛を与えない映画でした。

話題になった老けメイクと若メイクですが、ブラピの場合、老けメイクはいけますね。こういうおじいちゃんいそう。でも若メイクはきつかった。20前後の設定のときは、仄暗い明りの下にしか登場せず。たぶん、ごまかしくのきく最低限の明りがあれだったんでしょう。ぼんやりとした中に見え隠れするブラピの若メイクは、はっきり言って、コワイ…。蝋人形みたいでした。

逆に、ケイト・ブランシェットの若メイクは超キレイだった!肌艶やばい。毛穴ゼロ。
老けメイクの方が無理がある感じでしたね。

若返っていくベンジャミンの行き着く先は。そう。赤ちゃんです。つまり、記憶もゼロになっていくのです。これまで出会った人々、辿って来た人生、感じたこと、すべてを忘れていくのです。ちょうど年老いた人が昔の記憶をとどめていられないように。

年老いて昔のことを忘れていくというのは、子供に戻っていく、そんな感覚に近いのかもしれない。でも、いくら年老いても、ぼけたとしても、何もかも忘れてしまうわけじゃない。皮膚感覚で残る記憶が必ずあるはず。ベンジャミンの心の奥にも、たったひとつ、消え去ることなく残っていたんじゃないか、そんな風に思いました。


最後にひとつ。
この映画の原作って、20ページくらいの短編なんですって。それをここまで膨らませた脚本家がすごい!! アカデミー脚本賞も納得の受賞です。
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by myums | 2009-03-07 01:40 | 映画・海外ドラマ は行  

ちなみに、今、おすすめしたい映画は・・・

もう年末ですね〜。
早いものです。
今年は学校に通い始めたり、仕事もチームが変わってProjectに関われるようになったり、Wii Fitを始めたり、引っ越したりと、いろいろと新しいことを始めることができた一年でした。

一番嬉しかったのは、昇給したこと〜。
うほほー。
会社での自分の評価を試すつもりでチャレンジしたRaiseだったので、認められて嬉しかった! 

来年は、今年始めたことをどこまで伸ばせるか、チャレンジの年になりそうです。

このブログについては・・・。
最近更新さぼってるね。だめね。
おすすめしたい映画はあるんだけど、なかなか更新する時間と気力がなく。
ブログについては、ぼちぼちやっていきます。

ちなみに、今、おすすめした映画は、
『パリ、恋人たちの2日間』。アメリカ人の彼氏と、フランス人の彼女がパリに2日間滞在するお話。典型的なフランスを体験するアメリカ人の苦悩みたいな。
SEXと料理とアートと人種差別主義者。まあ、全部が全部そうじゃないだろうけど、パリってそんなイメージよね。
彼氏の方も、フランス語が分からないばっかりに、悪口言われてるんじゃないかと疑心暗鬼になっちゃうくらい神経質なのが問題あり。彼の体験するカルチャーショックもさることながら、2人の交わす会話がとっても面白い。政治や文化や皮肉を絡めてウィットに富んだジョークの連発です。

「こりゃ、パリには住めねーなー」と思うかも!

では、皆様良いお年を。
来年もよろしくお願いいたします。
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by myums | 2008-12-30 16:14 | 映画・海外ドラマ は行  

BOY A

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『BOY A』を観ました。

今年ベストと思える映画でした。

窓から柔らかな日が差し込む部屋で、テーブルを挟み向かい合う出所前のジャックと、彼の父親のような存在であるソーシャルワーカー(?)のテリー。
テリーから、escapeと書かれたスニーカーをプレゼントされて、「I don't Know What to say...」と口ごもるジャックに、「Say Thank you」と優しく教えるテリー。
ジャックは思わず立ち上がり、テリーに抱きつきながら、「Thank You」を繰り返すのでした。

映画はこんなシーンから始まります。
気持ちを言葉に表すのが苦手で、繊細で純朴な青年。
ジャック演じるアンドリュー・ガーフィールドは冒頭シーンで、私たちにジャックの柔らかさを印象づけます。

悪人にはとても見えないジャックがどんな罪を犯して刑務所に入っていたのか、この時点で観客には分かりません。出所後のジャックが新しい人生を送る過程で、過去の罪を思い出し苦しむことで、私たちにもその罪の内容が徐々に知らされていくのです。

この構成はうまいですね。
まず、ジャックという繊細な1人の青年を理解してもらって感情移入させることで、ジャック=犯罪者=悪人っていう先入観を観客に植えつけない。

とは言うものの、実は私は事前にPLOTを読んじゃってたので、彼の罪状ってのも知ってて観たんですが、それでも十分良かったです。知っていたからこそ、ジャックの揺れ動く感情の機微とか、微妙な表情の動きとか、深く味わえた部分もあったかなって思うくらい。



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ジャック演じるアンドリュー・ガーフィールドの演技はうまくって、心掴まれます。
「俺には幸せになる権利はないのでは」という罪悪感と、「新しい別の人生」への希望の間で揺れ動く心情を、繊細に痛々しくも、とても素直に演じていました。

特に、交通事故から少女の命を救い、周囲からヒーロー扱いされた時の、複雑な表情は、ぐっときました。

助かった少女と、死んでしまった運転手。あの交通事故の一件を通して、命の重さと、自分の犯した罪の重大さを、ジャックは改めて噛みしめていたのではないでしょうか。
そして、少女の命を助けたことで、自分の罪が少し清算されたようにも感じていたのかもしれません。

だから、生まれて初めて愛した女性にだけは自分の本当の過去を打ち明けたいと思ってしまう。しかし、テリーから「今でもお前を憎んでいる人間がいる。誰にも過去は話してはいけない」と反対され思いとどまります。

この時のジャックは、嘘をついているようで心苦しいんだ、とテリーに訴えますが、実のところ、心の底に甘えがあったんじゃないかと思います。過ちは過去のことだから、彼女なら許してくれるんじゃないか、その罪をひっくるめて丸ごとの俺を愛してくれるんじゃないって。

しかし、社会はそんなに甘くない。

ジャックは確かに純粋で優しいはにかみ青年です。罪を憎んで人を憎まずなんて言葉があるように、ジャックはとても憎めるような人間じゃない。
長年に渡る刑務所生活で十分罪を償ったとも言えるでしょう。
だけど、やっぱりジャックは他人に対する想像力が欠落していて、犯した罪の重さや被害者の遺族の苦しみにまで、考えが到達してない印象を受けました。
自分の苦しみには敏感なのにね。

たとえば、入社してきた隣の同僚が、気弱だけどめちゃくちゃいい人で、一緒に飲みに行ったりする友達になったとするじゃないですか。
半年くらいした頃に、実は彼が光市母子殺人事件の犯人(実際には死刑確定してますけど)だって分かったとしたら、どうですか? 今夜も一緒に彼と飲み行けますか?

できる!と言い切れる人はよっぽど慈悲深いか偽善者です。
私だったら動揺して距離置きます。その人の中に潜む暴力性を感じて怖いと思うかもしれない。
それは仕方ないと思います。だって、ことが殺人ですから。

しかし、だからといって犯罪者は一生日陰の身でいろとは思いません。犯罪者にも人生を再生する権利があると思います。だから、一生秘密にして欲しい。その苦しみは、一生自分の背中に背負って、誰かと分かち合えるなんて思わないで欲しい。ましてや社会に理解をしてもらうとか、罪を忘れてもらおうなんて、思わないで欲しい。

んー、やっぱり私は無意識の成敗者になってるかも?


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テリーとその引きこもりの息子とか、とってつけたような設定がちょっと気になりますが、役者もいいし、静かな中じわじわと高まる緊張感に引きつけられる映画です。最後の、晴れたブライトン・ビーチのシーンは、夢なのか現実なのか線引きができないくらい幻想的で、素敵でした。

物語はひたすらジャック目線で進むのですが、それに流されず、きちんと自分の目でこの映画を見て欲しいと思います。
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by myums | 2008-11-12 01:19 | 映画・海外ドラマ は行  

ファクトリー・ガール

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『ファクトリー・ガール』を見ました。

60年代、アンディ・ウォーホールに見いだされ、ポップカルチャーのアイコンとして一世を風靡したイーディー・セジウィックの伝記的映画です。

イーディーは上流階級出のお嬢様。芸術家を目指してNYの美大に通っていたところ、あるパーティーでコマーシャルアートのスーパースター、アンディーに見いだされ、業界人の仲間入り。美人で自由奔放、センス抜群なイーディ―に誰もが魅了され、ファッションアイコンとして人気を博し、当時絶大な支持を得ていた歌手(本人から使用許可が降りなかったらしく名前は変わってたけど、ボブ・ディラン)と恋に落ちたりわけですが、結局はドラッグに溺れ、アンディーにも時代にもほされ、28歳の若さでO.Dで死んでしまいます。


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そんなイーディーを演じるのは、シエナ・ミラー。
彼女は、めちゃくちゃ美人なのに、モデルとしても女優としてもオーラが足りなくて、没個性なので、あんまり好きじゃないんですが、この映画では好感度高かったです。

私はこのイーディーって人の存在すら知らなかったのですが、高貴であるけれど家庭環境は劣悪で、兄弟が自殺したり、父親から性的暴行を受けていたりして、精神病院に入院してた時期もあったようです。
(映画の中ではそういう設定でした)

イーディーが時々見せる、トラウマを心に隠し持っている人特有の表情。怯えた瞳と卑屈な笑顔ってのをシエナはうまく演じてました。

でも、一番重要なイーディーという人間の輪郭がぼやけてしまっていたのが残念。
「彼女は素晴らしい!America's it Girl!」と賞賛される割に、そこまでの輝きはなく、「かわいいけど代わりはいそう」的な感じだったし、多面的で強さの裏に弱さを隠し持つ女性という雰囲気でもなく、「純粋だけどNaiveなお嬢さん」的な印象でした。
これはイーディーのコマーシャル活動や心の葛藤ををサラッとなめて終わらせてしまった脚本にも問題があるし、その少ないチャンスの中でイーディーの本質を表現することのできなかったシエナの力量不足もあるかな。


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ファクトリーと呼ばれ、当時の新進気鋭アーティストたちのたまり場となっていたアンディーのアトリエでドラッグやったり、なんだかよく分からないコンテンポラリーな映画を撮影したり、そういう退廃的なシーンばっかりフォーカスされてて、60年代のアングラがどんなものかってのはよく分かったんですが、世慣れてないイーディーが堕ちて行くことも容易に想像がついちゃいましたね。

ただ、イーディーの場合、ドラッグやって破滅したっていうより、もともと破滅型な性質だったんだと思います。アンディと手を切るチャンスはたくさんあったのに、そうしなかった。「アンディを信じていた」と彼女は言うけど、本当にそうとは思えない。彼女くらい感受性の豊かな人だったら、自分の中で警鐘は鳴っていたはず。

映画の中で彼女は言います。

「I made decisions, life desions that I regret」

このセリフを聞いたとき、後悔すると分かっていながらも誤った選択をしてしまう、そういう生き方しかできな自分を受け入れてる感じがしたんですよね。
「しょうがないの、そういう風にしか生きられないのよ」って。
イーディーは、闇を抱え続けた人間だったんでしょうね。


イーディーをスターダムへ押し上げた人物であるアンディ・ウォーホールは、ポップアートを誕生させたアーティストで、その名前を知らない人でも作品なら見たことあるはずです。

c0057810_21353940.jpg←アンディの代表作品。


アンディは、有名人とかコマーシャルなものに弱くて、プライド高くて、意地っ張りで、人の痛みがわからない高慢ちきな芸術家。
だけど、心の底では罪悪感を抱えてて、精神薄弱で、そんな弱さを他人に悟られまいと必死に隠して冷淡を気取ってるだけの奴。

いつでも誰かと電話で話したり、お気に入りを傍に置いてるくせに、誰にも固執しないのは、孤独と対峙できない弱さであり、人と裸でぶつかり合う勇気のなさの現れ。
そして使うだけ使って捨ててしまったイーディーに対して吐く心ないセリフとは裏腹に、一瞬見せる後悔に歪んだ表情。

アンディを演じたガイ・ピアーズは、アンディのこの二面性をすごく良く演じてました。イーディーの伝記映画なのに、アンディの方が強く印象に残ったくらい。

アンディとイーディーは、互いの内に同質の弱さがあるのを感じていたのかもしれません。それが二人を引き合っていたのに、イーディーは純粋さ故にアンディに入り込み過ぎ、アンディは自分の領域を守りたいという自己防衛心からイーディーを拒絶してしまった。

アンディって人は、自分でも自分を持て余して、疲れる生き方してたんじゃないかなー。誰にも本当の自分を見せない、っていうか、見せる術を知らずに。

イーディーにしてもアンディにしても、自分の生き方に選択肢を与えないどころか、選択肢があることすら思いつかないところが、破滅的で哀れ。
60年代って、ファッションやエンターティメントはポップでコマーシャルだけど、人の心は退廃的なムードが漂う時代だったのかな。


コネタ。
アンディの取り巻き(?)の一人にメアリーケイト・オルセンが!
しかもエキストラのような役で!
びっくりでした。

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by myums | 2008-11-09 00:10 | 映画・海外ドラマ は行  

The Visitor

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『The Visitor』を観ました。

妻と死別して、書くことにも教えることにも情熱を失い、なんとな〜くただ生きてるだけの大学教授のウォルター、62歳。枯れてます。
ある日、20年以上も放置プレイだったNYのアパートに訪れると、なんとそこには見知らぬ若いカップルが住んでいました。
お互いにびっくり仰天。
話を聞くと、中東出身のトレイクとザイナブの2人は、どうやら住処がない様子。二人を不憫に思ったウォルターは、新しいアパートが見つかるまでの間、自分のアパートに住まわせてあげることにします。

ウォルターはトレイクの演奏するジャンベに興味を持ち、のめり込み始めます。ジャンベを叩いていると、ビートと一体になることができる。頭の中は無であるのに、確かに自分は存在していると感じることができる。


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ウォルターを演じるのは、私のベスト・北米ドラマ
『シックス・フィート・アンダー』で主人公の死んだ父親役をやっていたリチャード・ジェンキンス。シックス〜のときは、人生を達観した(と言ってもすでに死んでる亡霊ですが)粋なおじさま役がとても似合ってました。
彼は華もなくて、演技も味なんだけど、ちょっとすねた感じの表情が、「この人って内に色んなものを持っていそう」と思わせてくれる。目立たないのに印象に残る役者さん。

ウォルターは惰性で生きているように見えるし、本人もそう思ってるみたいですが、心の底ではパッションを求め続けていたんだと思います。そして音楽が大好き。自分が思っている以上に、情熱的な人。
大学のキャンパスで生徒が演奏するバケツドラムを耳にした瞬間、その激しいビートとリズムに心を奪われて、足蹴く通います。本当はビートに合わせてダンスしたいくらいなのに、隣でさりげな〜くランチを食べながら演奏を聞いたりして。

そういうのわかるな〜。
私も結構そういうタイプ。スポーツ観戦とかしてても、淡々と見ちゃって、立ち上がって盛り上がってる周囲との温度差が寂しかったりすること、あります。かと言って、別にしらけてるわけでもなく、心の中では大興奮なんですよ。周りと一緒に私も盛り上がりたい欲求はあるんですが、なぜかそれが外に現れない・・・。悔しいもんだから、無理矢理テンションあげて、後でどっと疲れちゃったりして。

だからこそ、自分の殻をぶち破って感情を発散できることに出会えたときの感動は、計り知れないのです。抑えきれない感情が津波のように押し寄せて、それに飲み込まれて、体外に爆発させるときの高揚感と充足感。
ウォルターは情熱を注げるものにやっと巡り会ったのです。


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ジャンベを教えてくれたトレイクとの間に友情も芽生え、ウォルターは生きる活力を取り戻して行くのですが、ささいなことからトレイクが警察に捕まり、違法滞在者であることが発覚してしまいます。

正直言って私は、トレイクの祖国シリアの現状を知らないし、アメリカの不法移民問題も知識としては知っていても現実を目の当たりにしたこともありません。
だから、知ったかぶりなことは言えませんが、誰にも彼もビザを発給することはできないから、アメリカに経済効果をもたらしてくれる人だけがグリーンカードの対象になってしまうという国の事情も理解できるし、窓口の人間だって1人1人に感情移入していては仕事にならないでしょう。
一方、トレイクのような弱者は不当に扱って切り捨てても良いという姿勢には、人間として憤りを感じたりもします。

たとえば、2世代に渡ってアメリカに住み、滞納することなく税金を納め、近隣からの人望もあり、コミュニティーに貢献している健康な人物には労働ビザを発給、なんて制度があったら良いのに。「人格優良者ビザ」とか!?

やっぱり移民問題に直面してないから、発想がくだらないですね・・・。

この映画が良かったのは、移民問題を絡めながらも大仰な社会派ドラマとしてではなく、最初から最後まで一人の初老男性の人生ドラマとして描かれていたところ。核がぶれなかったのは、本当に良かった。

ハッピーエンドではないのに、確固たる強さを感じる映画です。


いただけないのは、予告編。
ベタなお涙頂戴物みたくなってて、cheezy!!
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by myums | 2008-09-27 23:29 | 映画・海外ドラマ は行