僕の大事なコレクション Everything is Illuminated

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イライジャ・ウッドがケント・デリカットに見える、『僕の大事なコレクション』を見ました。



前半はすごいおもしろくてお気軽なコメディなのかと思ってみてたら、後半はめちゃくちゃ重い。その落差が激しくて見てる間はちょっと息苦しかったけど、鑑賞後はなんとも清々しい気持になりました。


ユダヤ人とウクライナ(旧ソ連)の歴史を知るきっかけにもなるし、後半の方が色々感じるところも多いのですが、やはりここは前半のお気楽極楽気分をぜひおすすめしたいです。




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なんと言ってもキャラ設定がウマイ!



イライジャ演じるジョナサンは、アメリカ系ユダヤ人。常に黒いスーツに身を包み、分厚いレンズのメガネをかけ、何事も淡々とこなす無表情の真面目人間。
趣味は家族の思い出の品を集めて壁に貼ること。
写真はもとより、兄弟の使ったコンドーム、名前入りの白いブリーフ、砂、注射器、ジュースの蓋、とにかくなんでもジップロックに入れて集めて、壁に貼り付けてます。


私もおもちゃ収集癖あるので集めずにはいられない気持、わかります。他人にはがらくたでも、本人にとってはどんな高価な宝石よりも大切な宝物なんですよね~。


けど、おばあちゃんの入れ歯ジップロックしちゃうのには笑った。
水の入ったコップの中につけてある入れ歯だよ。いくらなんでもそりゃないわ。



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そんな風変わりなジョナサンがおじいちゃんの命の恩人を探すためウクライナへ出向き、ユダヤ人のルーツ探しツアー業を営む一家にガイドを頼みます。
通訳にはアメリカかぶれの長男アレックス。
「車を駐車してくれる人をバレーと呼ぶんだ」とジョナサンが教えてあげると、「何で自分で駐車しないんだ?」ともっともなことを言ったり、「ニグロって言葉は使わないほうがいい」と言われると、「俺はニグロが好きなんだ、ニグロの何が悪い?」なんて返す、ちょいズレ感覚が魅力の素朴なヤツ。

一番好きなニグロは、マイケル・ジャクソンって!!


やたら変な英語使うとこも、聞き逃すことのできないおもしろさ。


例えば、アレックスがジョナサンに、(電車で)寝れた?って意味で、
「Were you able to make to repose?」
って聞くんですけど、reposeって実は永眠って意味の方が一般的。


「どうよ、永眠できた?」

死んでねーよ。と思わず突っ込みたいところですが、そこはお堅いジョナサンですから。面食らいながらも、「あっ、あぁ、永眠した」って答えてました。



そしてドライバーには、「俺は盲目だ」と言い張るアレックスのおじいちゃん(ホントは見えてる)。金持ちユダヤ人を嫌っているんですが、彼には隠された過去があるのです。ここが後半の重要な鍵です。



最後におじいちゃんの愛犬(おじいちゃん的には盲導犬)、サミー・デイビス・ジュニア・ジュニア。

名前なげーよ!とここでも突っ込みたくなるのですが、アレックスが毎回毎回「サミー・デイビス・ジュニア・ジュニア!」とフルネームで呼ぶんですよ。そのたびに、名前なげーよ!って心の中で突っ込んでおきました。



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この3人+1匹でジョナサンのルーツ探しの旅に出るわけです。
旅の途中には独立の傷跡である廃屋や核マークの標識が出てきて、そういやチェルノブイリ原子力発電所ってウクライナに近かったな!っていうか、あれはウクライナだったか?なんて、あの爆発事件を思い出したりしました。
ウクライナの美しい自然とその背後にいまだ残る歴史の傷跡。そこに住む人々との交流。そして一面のひまわり畑。あれは圧巻。


後半は、笑いが消えます。
「指輪があなたを呼んだのよ」なんつって、それはロード・オブ・ザ・リング!?というお茶目シーンもありましたが、それまでのユーモラスな雰囲気とは打って変わって、悲しく切ない物語が展開されます。そして思いもよらぬ衝撃的な結末へと進むのです。


最初にも言いましたが、後半はかなり重いです。このままコメディで進むもんだと思い込んでた私は本当にビックリしました。それにも関わらず、不思議な爽快感が残るのは、この映画の視線がとても温かいから。


過去は、表になり裏になりして人生を照らし出す光。


味のある作品です。おすすめ!
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by myums | 2007-04-05 18:16 | 映画・海外ドラマ は行  

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