予定日の2日前。
朝からお腹に鈍痛が。
ちょうど検診だったのでドクターに診てもらい、そのまま病院へ。
(カナダは検診のクリニックとお産の病院が別)
病院に着くころには、あー、これ陣痛だわーと分かるくらいの間隔で痛みが来るものの、まだ余裕。
バンクーバーでの初出産。無痛出産ってどんなもんなのか、ドキドキワクワク。
いよいよ分娩室へ。
噂には聞いてたけど、分娩室がキレイ!!
個室だし!
じゃ、そろそろ薬お願いします。
「OK、その前にまず点滴うつわねー」と助産師さん。
ブスっ!
い、いたい!!!
点滴の針ってこんな痛いの?!
「あら?入んない。ごめんなさい。もう1度入れるわね」
ブスッ!
いってー!いってーよ!!
「あれ?おかしいな。もう1回」
ブスッ!
イッテーってば!!いい加減にしろー!
「ダメだわ。別の助産師を呼ぶからちょっと待ってて」
お前、殺す!!
もうこの辺から陣痛の痛みが激しくなってくる。
ほんとに、勘弁してー。
早く早く!!
やっとのことで点滴の針が入る。
もう、陣痛やばい。
猛烈に痛い。
イタコのように髪を振り乱して、うなる、叫ぶ。
この痛みは5cm、いや6cmくらいか?
ミッシャン出産時は子宮口7cmで痛みのあまり嘔吐したんだよな。
あそこから出産までの想像を絶する地獄の痛み。あんなのに一回経験すりゃもういいよ。
てか、麻酔のドクターはどこ?どこにいるんだ?早く来いよ!!
あまりの痛みに笑気ガスを吸ってみると、うっ、吐きそう!!
ダメだ。くらくらするだけで、気持ち悪いし、引き続きクソ痛い。
笑気ガスが体質的に合わない人もいるそう。
そして、地獄の入り口に片足つっこんだ辺りで、やっと麻酔ドクター登場。
テメーおせーんだよ!!
痛みに苦悶しつつ、どんな奴なのか目を開いて確認したものの、あまりの痛みのため、記憶なし。
麻酔によるリスクをチンタラ説明された後、やっとエピ挿入。
液が入ってきた時、背筋がスウっと凍りつくような感覚があり、その後10分くらいで、痛みが遠のく。
薬が効くまでに30分くらいかかる人もいて、経産婦だとその間にお産が終了しちゃうパターンもあるとか。
そうならなくて良かったー。
痛みがなくなったら、もうこっちのもん。
Booとも普通に会話できるレベル。
私の赤ちゃんを取り上げくれるDr.ウーが入ってきて、子宮口をチェック。
「よし!お産開始!」の合図とともに、いきなり助産師がわらわら入ってきて、器具やら機械やらをバタバタっと準備。
なんと鮮やかな手際。
「プーッシュ!!プーッシュ!!すべての力をお尻に向けてー、プーッシュ!」
5人の助産師さんによるプーッシュの輪唱。
私のアドレナリンも全快。
おおおお、きたきたきたー!!
「待って!!!Dr.ウーはどこ?!」
え!?
Dr.ウーが消えた!!
どこ?!どこ?!
予想以上に進みの速いお産にドクターが間に合わないという事態。
「スモールプッシュ!スモールプッシュ!」
助産師さんも焦る。
てか、今更スモールプッシュは無理!
ズルッと出た瞬間にウーが現れ、ギリギリセーフ。
ホゲーホゲーと産声をあげながら乳に吸い付く赤ちゃん。
ちっちゃくて、かわいい。
2500gと小柄で体温も低かったので、カンガルーケアの合間合間で紫外線の台に乗せられてました。
新生児の体温をあげるには、Skin to Skinが一番効果的ということで、授乳のたびに赤ちゃんをオムツ一枚にして、私の体に密着させてたのですが、これがとっても気持ちいい。心の芯まであったまる。産後ハイもあいまって、天にも昇る気持ちでした。
ということで、分娩開始から20分ほど、ほんとに5プッシュくらいの超安産で生まれてくれました。
無痛だと自然分娩ほどのドラマはありませんが、命をこの腕に抱いた瞬間の感動は、むしろ無痛の方が大きかったかも。
自然分娩は痛みから解放された安堵感が先にきちゃったので。
これからバンクーバーで初めて出産される方へ、一言。
エピは早めに入れてもらいましょう。