許さなくていいという選択

物心ついた頃から、「強さ」に憧れていました。
逆境に立ち向かい、努力し、幸せを自分の力で手に入れる、そんな人間になりたい。

実際の自分は、逆境に目をつぶり、楽な道を選び、幸せを最初から諦めている、ダメで弱い人間でした。というか、そう思い込んでいました。

自殺するのも怖い、自立するのも面倒、学校行くのも面倒、でもビビリだから赤点とか怖くて、試験ではそこそこの点数を取る。プライドだけは高いから、一応大学も行っといた。

就職難で就職活動も面倒だし、面接で落とされたり、自分を否定されたりすることを想像したら、怖くて、結果、プーになった。

自分がダメ人間なのは嫌と言うほど分かっていたので、友人関係も表面的。
楽しくおしゃべりはできるけど、本当の自分をさらすことはできなかった。
深く付き合うことによって嫌われるのが怖かった。

なんで自分はこうなんだろうと悩み、もがき、苦しみながらも、そんなことで悩んでると周囲に思われなくないため、強い自分を演じる。
そしてまた、同じことで悶々と悩み、、、この繰り返し。


万年思春期、つまりインナーチャイルドであった私ですが、数年前にとある本に出会いました。
それが、『毒になる親』です。

自分の堕落した性質と育った環境との結び付けて考えることこそ、甘えであり言い分けであると考えていた私は、虐待関連の本は一切読まずにきました。
なのでこの本を手に取ったことは、魔が差したようなものでした。
そして、そのおかげで救われました。

まず、自分が両親にされたことは、虐待であったと受け入れることができました。
人生に価値が見出せず、自信がなく、無気力であることもまた、虐待に起因していると、認めることができました。
両親の庇護に頼る以外に生きる術のなかった幼い私から、人生の価値を奪い取り人格を貶めた両親にこそ、一切の責任があり、私がその責任を感じる必要はゼロであることも、受け入れることができました。

それは言い訳でも甘えでもない。
事実なのです。

そして、この本には、「死んだ毒親」に関する記述もありました。

「亡くなった人を悪く言うものじゃない」という風潮があります。
ましてや私の母は、四半世紀以上も前に闘病の末になくなっているので、とてもじゃないけど、まだトラウマ抱えてるなんてそぶりにも出せません。

自分自身も、死んだ親を許せない自分の器の小ささが大嫌いでした。

けれど、死ねば生前の罪はすべて許されるのでしょうか。
実の親に傷つけられ癒されることのなかった幼い心は、親が死ねば浄化されるものではありません。
解決する機会を永遠に失った心の傷は、一生膿み続けるのです。

親が死んだからと言って、無理に許す必要はない。
自然に許せる日がくれば、もちろんそれに越したことはないけれど、「許さなくてはいけない。なぜならそれが正しいことだから」という強迫観念からの許しならば、許さなくて良いのです。

この記述に、目からうろこでした。

まさに私は、「正しいことをしなくてはいけないから、許さなければいけない」という理論のもと、許したふりをして生きていました。

それこそが、私を苦しめていた元凶だったのです。

「許さなくていい」

この一言で、私の人生は変わりました。
自由になりました。
伸び伸びしました。
心がしゃんとしました。

許すことをやめただけで、こんなに楽になるとは、びっくりです。

最近になって、近しい親戚だけに、「私は許さないことにした」という話をしたところ、「でも、お母さんもね、貧乏で辛かったんだよ。生活苦の中、必死に働いて、だから、余裕がなかったのかもよ」と言われました。
それも分かります。
母だって生活のために必死だった。
だけど、母の私への虐待は、貧乏だけが原因ではない気がするのです。
私と母は相性が悪かった。
貧乏で余裕がないところに、やることなすこと気に触る娘がいて、むしゃくしゃしてどうにも収まらないから、娘を叩いちゃう。
というか、考える前に感情で手が出ちゃう。そういうヒステリックな人でした。

まあ、何が原因としても、親が子供を虐待してよいってことにはなりません。
それは許されることではありません。

だから、私は許しません。
生んでくれたことへの感謝もありません。
あの人が私へしたことは忘れません。
私を守ってくれなかった父のことも、忘れません。
私があの両親を選んでこの世に生まれたなんて、信じません。
私の自尊心をめちゃくちゃにした両親を、許しません。
だって、何十年かけても、どうやっても、許せなかったんですから。

そして、許さない決断をした自分を、許してあげます。
そう、私は、両親を許さない代わりに、自分を許したのです。

トラウマから完全に脱却したのかどうか、正直よく分かりません。
いずれ母のことを許せる日が来るのか、自分が死んでも許せないのか、それも分かりません。
とにかく、生まれて初めて、自分を許し、自信を取り戻すことができたのですから、今はそれで満足です。

心が自由っていいなーーー。
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by myums | 2015-11-07 09:14 | 国際結婚とカナダ  

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