アリスのままで-still alice-

アリスのままで』を観ました。

言語学者として大学で教鞭をとるアリスは、3人の子供にも恵まれ、夫との仲も良く、幸せいっぱいに人生を謳歌しておりました。
ところが、講義中に言葉が出てこなくなったり、ジョギング中に迷子になったりとおかしな現象が続くようになります。

「もしかして、脳腫瘍?!」

いいえ、違います。
あなたは、アルツハイマーです。

「ええええええええええっ
まだ、50歳ですけど!!!」

非常にレアケースである若年性アルツハイマーと診断されたアリス。

アルツハイマーのもっとも恐ろしいのは、脳みそが徐々に機能不全となっていく過程を、本人が受け止めなくてはならないところです。
特に言語学者のアリスにとって、言葉やコミュニケーションは彼女の情熱そのもの。人生をかけて築き上げてきたものです。
それらが少しずつ、彼女の脳みそから抜け落ちていく。
そして、それを止める術はない。

トイレの場所を忘れお漏らししてしまうシーンなど、観ていて辛い。胸が締め付けられました。

とは言え、この映画では、アルツハイマーによる症状のエピソードは、比較的淡々と描かれています。
私にはそれが良かったです。
病気の恐ろしさばかりにフォーカスした映画だったら、最後まで観れなかったかもしれません。

静かに、でも確実に進行する症状の中で、アリスは「アリスとしての人生」を精一杯生きようとします。そんなアリスを、それぞれの思いを抱えながら支えていく家族。

と言うと、家族の自己犠牲の上に成り立つ介護みたいのが想像されがちですが、そうはならないところがリアル。

アリスには、旦那さんと、2人の娘と、1人の息子がいるんですが、皆それぞれに家族があったり、仕事があったり、夢があったりして忙しいのです。
旦那さんにしても、日常の細々した世話はになっていますが、彼にも彼の人生があり、アリスとともにそこで立ち止まっているわけにはいかない。

それは仕方のないことだと思います。

だからと言って、アリスの家族が冷たいかというと、そんなことはなく、介護が必要な状態になっても施設に送ったりせず、旦那さんは自宅介護をしていますし、家族同士連絡を取り合って、できる範囲でアリスのそばにいるようにしてあげています。

特に、次女リディアとアリスの親子関係が、可愛らしくて、とても良かったです。

優秀で高学歴の家族の中で、女優を目指し自由な生き方を好むリアディアは異質な存在。アリスはそんなリディアに、「学歴もキャリアのうちよ。カレッジに行ったら?」とかなんとか、説教臭いことを言い、リディアはアリスに対し、「口うるさいな~」と思ってるわけです。

ただ、この二人のやりとりが何だかコミカルで可愛らしいんですね。

発症後も、病気を盾に進学を勧めるアリスに、「そんなのずるいわ。病気を使って私をコントロールしようとしないでよ」とリディアが対抗すると、アリスは「あら、なんでいけないの。病気を使っていい権利が私にはあるわー」みたいなことをシレッと言ってのけたりして、その様子がとても自然な親子なんですね。

遠く離れて暮らしていても、母とのスカイプは欠かさないし、必要となれば自ら介護を買って出る。リディアは、きっとママのことが大好きで尊敬しているんだろうな~と思います。

症状が進行し、かつての強く聡明な女性であったアリスは失われていきます。
それでも、アリスはアリス。
付加価値のなくなった丸裸のアリスを、家族はどのように受け入れていくのか。
そんな強い余韻を残す映画でした。

もし、私の身に起こった場合、まず失われるのは、英語だよなぁ・・・。
Booとのコミュニケーションどうしよう。
日本語勉強してもらわなきゃっ!
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by myums | 2015-11-02 11:20 | 映画・海外ドラマ あ行  

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